事例:設計と試作

「設計」といっても製品のサイズ、重量、箱の用途も様々です。

どんな風に課題をクリアしていくか、その経緯をご紹介します。

空気清浄機の箱

重たい製品を誰でも楽に、しっかり梱包できる箱

今回は空気清浄機を取扱いされているクライアント様からのご依頼です。メンテナンス時にお客様がご自宅などから製品を整備工場へ送り返すための「保護用出荷段ボール」を作成したいとのこと。設計のため、早速本体を受け取りました。とりあえず高そうです。そして空気清浄器だけに重量もあります。今回の課題は次の2つです。

  1. エンドユーザーが製品をなるべく持ち上げずに梱包できる。
  2. デリケートな製品をしっかり固定できる。
設計と試作 file02保護用出荷ダンボールの使い方

「みかん箱」のような一般的な段ボール形状では、下の図解のように製品を持ち上げて箱に入れることになります。製品は何種類かサイズがありますが、一番重たいもので15kg以上はあり、お年寄りや女性には持ち上げるのが大変そうです。

設計と試作 file02ユーザーが梱包する時に困ること

製品を持ち上げることができても、梱包中に誤って落としてしまう可能性もあります。また、梱包箱が製品をしっかり固定できる構造でないと、搬送時の衝撃で製品を傷めてしまうことも。「組み立てやすく、しっかり固定」は箱の設計において基本ですが、今回製品を梱包するのは年齢も性別も様々なエンドユーザーです。そういった梱包作業に不慣れな方でも「組み立てやすく、安全に、梱包しやすい」箱にするには、どんな構造がふさわしいでしょうか。

発想の転換! 製品を持ち上げずに梱包できるようにしよう!

そこで、ダンボールを組み立てずに、開いた状態にして製品を真ん中に置き、そこから箱の側面を立ち上げるような形状を考えてみました。

設計と試作 file02 組み立て方の解説1

組立開始

これなら製品を持ち上げずにスライドさせながら箱中央へ移動させればOKです。重たい製品を持ち上げるよりも、安全で手間を掛けずに梱包出来ます。

設計と試作 file02 組み立て方の解説2

そして強度を出す為に、本体に被せるタイプの外装も作りました。段ボールを二重にすることで、重量があるものでもしっかりと保護できます。ただ、この仕組みでは内装と外装を固定しないとガタついてしまうので、初めは「バンドでも巻いて固定してみればいいんじゃないか」なんて話もありました。ですが一般家庭ではおそらく出来ませんので、代わりに

設計と試作 file02 外装の固定もできる便利な取手

はめ込むタイプの樹脂製の取手を使うことにしました。大手プリンターメーカーなども箱を固定するために使っているもので、発送時は取手にもなり一石二鳥です。

設計完了!さて、輸送テストの結果は…?

いよいよこの段階で、強度は十分なのかクライアント様に輸送テストをしていただきました。その結果は、底上げ用の段ボール台紙が潰れて、製品底面に取り付けられているメッシュの金属プレートが曲がってしまいました。そこで違う形状の台紙を改めて検討しましたが、あまり難しい設計にするとエンドユーザーが組み立てられないのではという心配もありましたので、今回は緩衝材を工夫することにしました。

一般的な発砲スチロールですと衝撃に弱く、欠けたり、粉状のカスが出ますが、今回は、耐衝撃性に優れた素材を採用しました。

設計と試作 file02 耐衝撃性に優れた緩衝材

この緩衝材も、コスト高になる成型はせず「板材形状」にして、金属メッシュの底面より強固な筐体(きょうたい)部分で支えるようにしました。これなら製品の片側を持ち上げて隙間に入れるだけなので、エンドユーザーでも簡単に梱包作業が出来ます。

再度、輸送テストをして頂いたところ、問題なく輸送も出来、無事設計が終了しました。

室長のアレコレメモ

今回は、企業で利用するというより、一般の消費者が利用するケースでした。色々なお客様がいらっしゃいますので力のない女性でもうまく使えるかどうかなど、具体的なお客様像を想定しながら設計をしました。実際にクライアント様の女性社員の方から、「持ち手が段ボールの断面のままだと運ぶ時に手が痛い」などフィードバックも頂きながら改善を加えました。

 

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